妊婦さんはコーヒーをあまり飲んではいけないと言われていますが、これはコーヒーに含まれるカフェインがお腹にいる赤ちゃんに悪影響を及ぼすためと言われています。また、最近の研究では、カフェインを摂取すると将来産まれてくる子供の肥満率を高めるともいわれています。
そこで今回は、妊娠中のカフェインの影響や、コーヒーの1日のカップ数など、詳しく解説します。
カフェインの摂りすぎは流産や早産、低出生体重児、発達障害の原因になると言われる
カフェインには、人間の中枢神経に作用する効果があり、眠気を覚ましたり興奮状態にしたりします。そのため、仕事の最中や車を運転するときにカフェインが含まれるコーヒーを飲んだりするのです。
これまでの研究では、このカフェインが胎盤を通じて胎児の血中に入り込みやすいことがわかっています。
このカフェインが胎児の成長にどう影響するかは実ははっきりとはわかっていません。しかし、動物実験では、このカフェインが糖質の代謝を妨げたり、インスリンの抵抗性を高めて血糖値の上昇に繋がったりすることまでは明らかになっています。
カフェインは摂取すると胎盤を通過します。このとき、カフェインは胎盤への血流を制限するだけでなく、血圧や血糖値に対して影響を及ぼすのです。肝臓にもさらなる負担がかかり、妊娠するための女性ホルモンにも影響があります。
また、カフェイン摂取と低体重児の関連性は既に認められており、さらには、流産や早産に繋がるということも言われています。最近では発達障害にも関連があるのではという研究も出ています。
アメリカの薬剤に関する雑誌であるニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New England Journal of Medicine)は、6〜12週間で流産した562人の女性を対象に調査を行ったところ、5カップ以上のコーヒーが母親の流産リスクを増加させるという結果になったと報告しています。
2001年の研究では、妊娠中に300mg以上のコーヒーを摂取すると、最初の妊娠で女性の流産のリスクが2倍になったと発表しています。300mgは、およそコーヒーカップ2~3杯に相当します。
コーヒーはカップ1杯まで
このカフェイン摂取についてですが、実は様々なものにカフェインというのは含まれていて、全く摂取しないというのはほぼ避けられません。ただし、カフェインは通常生活しているレベルで摂取する分には問題ありません。
具体的にどの程度のカフェインを摂取するとリスクがあるかというと、カフェインが100mg以上が基準とされています。
コーヒーですと、ドリップだと1杯(100mg)でカフェイン90mg、インスタントコーヒーですと1杯(100mg)でカフェインが含まれています。
また、アメリカで行われた2008年に行われた1000人以上の妊婦への調査結果によると、カフェインを一日に200mg以上摂取した女性は、カフェインを消費していない女性と比べて、2倍の流産リスクがあるとのことでした。この研究により、この調査機関からは1日に200mg未満のカフェインにとどめるべきという推奨文を出しています。
アメリカ人と日本人では体質も違うため一概には言えませんが、コーヒー1杯程度飲んでもリスクはそこまで大きくありませんので、これを守るとよいでしょう。
コーヒー以外もカフェインは含まれる
実はコーヒー以外でもカフェインが多く含まれる飲み物があります。コーヒーは1杯だけでもほかの飲み物と組み合わせることで基準以上の量になりますので、その点を注意しましょう。
また、ブランドによってもカフェイン含有量は異なりますので、あくまで参考までにしてください。
それぞれの飲み物のカフェイン含有量
玉露1杯(100ml):120mg ※1杯で基準値以上になる
コーヒー(ドリップ100ml):90mg ※1杯までOK
コーヒー(インスタント100ml):45mg ※2杯までOK
コーラ1本(500ml):50mg ※2本までOK
ココア1杯(100ml):30mg ※3杯までOK
紅茶1杯(100ml):20mg ※5杯までOK
ほうじ茶1杯(100ml):20mg ※5杯までOK
ウーロン茶1杯(100ml):20mg ※5杯までOK
緑茶1杯(100ml):20mg ※5杯までOK
コーヒーが好きな人はデカフェやたんぽぽコーヒーなどがある
それでも、どうしてもコーヒーの味が好きなママもいますよね。
そんな時は、コーヒーの味に似ているたんぽぽコーヒーや、カフェインレスのコーヒーであるデカフェなどを試してみるとよいでしょう。
カフェインの摂取は子供の肥満リスクを高める
カフェインを多く摂取した母親から生まれた子供は、そうでない母親から生まれた子と比較して肥満になる可能性が約1.9倍高いというアメリカの調査が国際肥満ジャーナルという雑誌で発表されています。
その調査によると、コーヒーの量に応じて子供が肥満になる確率が高まるそうです。1日1杯(150g程度)以下であれば生まれてきたこの肥満リスクは1.6倍ですが、1杯を超えるとそのリスクが2.3倍に上がります。
ストレスを溜める方がもっと悪影響を及ぼす
ただし、あまり神経質になりすぎて、自分自身にプレッシャーをかけるとそれがストレスとなりおなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼします。
ストレスを溜めすぎると、お腹の赤ちゃんに伝わり、不安を感じやすくなったり精神的に不安定になったりと影響を及ぼすと言われています。
あまり過剰に気にしすぎず、デカフェのコーヒーを飲んだり、「コーヒーは多くは飲みすぎないようにしよう」程度の心持ちでいる程度が良いでしょう。