現代において、健全な睡眠は健康に必須の要素と言われています。それは大人だけでなく、「寝る子は育つ」と言われているように子供の成長に睡眠は欠かせません。
それでは、どの程度の睡眠時間が必要なのでしょうか?また、睡眠の質をしっかり確保するためのコツはあるのでしょうか?
睡眠が重要であるということは感覚的に感じているものの、子供の健康と発達にどのくらい重要であるかということをきちんと認識されているパパママは意外と少ないものです。
そこで今回は、子供の睡眠について、最新の研究内容も踏まえて解説します。
睡眠は子供の脳の成長に欠かせない
ご存知の方も多いと思いますが、睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠という2種類の睡眠があります。
レム睡眠とは、脳以外は眠っているのに、脳は覚めている時と同様に働く睡眠で、この時に記憶の整理が行われていると言われます。
そのため、レム睡眠が不十分になると記憶力が低下するのです。
一方ノンレム睡眠は脳は完全に休んだ状態になり、脳を休ませながら起きている間に得た情報の中から不要な情報を眠りながら緩和・消去しています。
もし子供がレム睡眠が不足すると、怒りや攻撃的な行動などを引き起こすなど、精神的な部分に影響を及ぼすと言われています。また、集中力が欠け、意欲の低下にもつながることが分かっています。
つまり、レム睡眠もノンレム睡眠も、子供の脳の成長にとっては非常に大切な睡眠であると言えます。
睡眠は免疫システムにも影響を与える
睡眠は、脳の成長のためになるだけでなく、身体的な健康にも影響を及ぼします。
人間の体は、睡眠中の感染症と戦う物質を分泌します。そして、睡眠時間が少ないとこの分泌が十分に行われず病気になりやすくなります。
研究によると、睡眠不足のラットは、白血球数が20%減少したことがわかりました。このように、睡眠は免疫システムに対しても影響を及ぼすのです。
免疫システム以外にも体へのリスクがあります。中国の研究では、 睡眠時間が9時間未満だった子供は、医師の診察が必要な怪我をしやすい傾向があったとも言われています。
よって、睡眠は、病気と闘ううえでも非常に大切な要素と言えます。
睡眠は子供の健やかな成長を促す
脳や病気への抵抗だけでなく、睡眠は体の成長そのものにも影響を及ぼします。
成長ホルモンは主に睡眠中に分泌されます。裏を返すと、睡眠時間が少ないとその成長に対して影響を及ぼすため、子供には睡眠の仕方を教えることが重要です。
上述したノンレム睡眠の最中、筋肉への血液供給が増え、エネルギーが補充され、組織が成長し、体の修復が行われます。赤ちゃんの場合、ノンレム睡眠が約50%を占めていますが、これは赤ちゃんが急速に成長しているためです。ノンレム睡眠は子供の年齢とともに減少します。
このように、睡眠は身体的・肉体的に大切なことなのです。
18歳まででも9時間の睡眠が必要
それでは、どの程度の睡眠時間が子供にとっては必要なのでしょうか?
年齢別の睡眠時間については、以下の睡眠時間が必要と言われています。
子供の必要な睡眠時間
- 新生児から2ヶ月: 10.5〜18時間の睡眠
- 3ヶ月~12ヶ月: 9.5-14時間の睡眠
- 1歳~3歳: 12〜14時間の睡眠
- 3歳〜5歳: 11〜13時間の睡眠
- 5歳~12歳: 10-11時間の睡眠
- 13歳〜18歳: 9時間の睡眠
おすすめの起床時間・就寝時間
これらを踏まえ、おすすめの起床時間と就寝時間について表にまとめたものが以下となります。
起床時間 | 6:00 | 6:15 | 6:30 | 6:45 | 7:00 | 7:15 | 7:30 | |
就寝時間 | 5歳 | 18:45 | 19:00 | 19:15 | 19:30 | 19:45 | 20:00 | 20:15 |
6歳 | 19:00 | 19:15 | 19:30 | 19:45 | 20:00 | 20:15 | 20:30 | |
7歳 | 19:15 | 19:30 | 19:45 | 20:00 | 20:15 | 20:30 | 20:45 | |
8歳 | 19:30 | 19:45 | 20:00 | 20:15 | 20:30 | 20:45 | 21:00 | |
9歳 | 19:45 | 20:00 | 20:15 | 20:30 | 20:45 | 21:00 | 21:15 | |
10歳 | 20:00 | 20:15 | 20:30 | 20:45 | 21:00 | 21:15 | 21:30 | |
11歳 | 20:15 | 20:30 | 20:45 | 21:00 | 21:15 | 21:30 | 21:45 | |
12歳 | 20:30 | 20:45 | 21:00 | 21:15 | 21:30 | 21:45 | 22:00 |
※この表の見方:起床時間が年齢別就寝時間に対応しています。例えば上のアンダーラインを引いた例で言うと、起床時間を6:00にする場合、10歳の子供であれば20:00に寝た方が良い、ということになります
ほとんどの子供が睡眠不足に陥っている
上記のように、10代の子供でも約9時間の睡眠が必要ですが、学校や習い事に忙しく、結果として通常6~7時間程度しか睡眠時間を確保することができていません。
睡眠研究で有名なジェームズ・B・マース氏は、ほとんどの10代の子供は「歩くゾンビ」である研究を発表しています。
この研究では、睡眠時間の短い子供はそうでない子供と比べてうつ病に苦しむ可能性が24%高く、自殺思考が20%多いという報告をしています。
夜の眠りだけでなく、昼寝をさせることも重要
上記の研究には続きがあります。それは、昼寝を20分程度させることにより、うつ病や自殺思考が改善されたのです。そのため、睡眠時間をしっかり確保すると同時に、眠くなったらしっかり昼寝をさせてあげるというのも重要でしょう。
睡眠の環境づくりも大事
睡眠にあたっては、環境づくりが大事です。
例えば、ライトを薄暗くすることもその一つです。
睡眠ホルモンとして知られるメラトニンは、私たちが眠く感じるのを助けてくれます。しかし、夜間に明るい(または青色の)光を目にすると混乱すると言われています。ですので、寝室には明るいライトではなく、暖色系のライトをセットするとよいでしょう。
また、お風呂や部屋にアロマのエッセンシャルオイルを香らすのも一つ良い方法です。
α波があると心地の良い眠りに入ることができることから、波の音などを聴くのもよいでしょう。以下のような音楽をyoutube上でも聴くことができるので、夜寝るときに流すというのも一つの手です。
しっかり眠らせるためには「ルーチン」を作ってあげることが重要
なかなか眠りにつくことができないこともあるでしょう。そういった場合、睡眠をパターン化させる「ルーチン」を作ってあげることが大切です。
例えば、以下のようなことを試してみるのもよいでしょう。
- 眠る際に絵本を読む
- 決まった時間にお風呂に入る
- リラックスできる音楽をかける