妊活を検討している、もしくは妊活中の女性の中には、タバコを吸われている方もいらっしゃると思います。
一般的に喫煙は健康に良くないと言われていますが、果たして妊活するにあたっても悪影響を及ぼすのでしょうか?
今回は、そんなタバコの妊活に対する影響について、解説したいと思います。
※男性の喫煙については以下の記事をご覧ください
女性の喫煙は、流産のリスクを2倍に高める
厚生労働省によると、女性が喫煙をすると、自然流産の発生率は約 2 倍、早産率は約 1.5 倍、周産期死亡率は約 1.4 倍高くなるとしています。また、体外受精においても、喫煙している女性の妊娠率は、喫煙していない女性と比較して約20%も減少するといわれています。
原因としてはタバコの煙に含まれている活性酸素があります。この活性酸素は、体の各器官の老化を引き起こします。つまり、卵巣や子宮、卵子の質を低下させてしまします。
また、タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させて、子宮胎盤循環血液量を減少させます。
その結果、妊娠率の低下や流産のリスクの上昇につながるのです。子宮外妊娠などの合併症を引き起こす可能性もあります。
喫煙はお腹にいる赤ちゃんにも影響を及ぼす
喫煙は、妊娠の時だけでなく、お腹にいる赤ちゃんにも影響が出ます。
たばこに含まれる一酸化炭素は血液の酸素運搬能を低下させます。この結果、お腹の赤ちゃんは低酸素状態となります。
この影響で、お腹にいる赤ちゃんの体重に影響を与えます。厚生労働省によると、喫煙している女性の子供は、非喫煙者の女性の子供と比較して、産まれたときの体重が平均 200g 少ないと言われています。また、低出生体重児が産まれるリスクも約 2 倍高くなると報告されています。
先天異常の確率が高まるという報告もあります。
ママになったあとにも喫煙の影響は及ぶ
喫煙は赤ちゃんが生まれてママになった後にも及びます。
1 日に 4 本以上の喫煙をしているママは、非喫煙のママに比べて母乳分泌量は 10~ 20%低下し、その低下は喫煙量が多いほど低下すると言われています。
さらに、乳児に対するニコチンの直接の影響としては、1 日 20 本以上喫煙するママのニコチン量の多い母乳を与えられた乳児は、嘔吐、下痢、脈拍増加、落ち着きがないなどの症状が現れると言われています。
以上のことから、妊活中だけでなく子育ての期間にまで喫煙の影響は及んでしまいます。また、ニコチンなどで低下した卵巣の機能などは、なかなか元には戻りません。
妊活を検討されている女性は、できるだけ早くに禁煙に取り組まれることをおすすめします。
iQOS(アイコス)など加熱式タバコも影響があるため控えるべき
近年人気となっている加熱式タバコ(iQOS:アイコス)は、ニコチンなどの有害物質の量が低減されていると言われています。しかし、通常のタバコよりも少ないというだけであり、含有されていることに変わりはありません。
また、ニコチン以外の有害物質について、通常のタバコよりも含有量が多いものがあるという報告もされています。
以上のことから、アイコスをはじめとする加熱式タバコも控えるべきです。
ヘビースモーカーの方は禁煙治療を行おう
以上のようにタバコは妊活をするにあたって有害なのですが、わかっていてもなかなか禁煙を行える人は少ないでしょう。そのため、禁煙治療を行うことをおすすめします。
禁煙治療では、ニコチンパットやニコチンガム、ニコチン代替薬などの薬剤を用います。また、カウンセリングを併用することもあります。
禁煙治療は病院によって保険が適用できます。禁煙学会のホームページに保険が適用できる禁煙外来一覧がありますので、そちらを参照するとよいでしょう。