「妊活」は、2011年に流行語大賞にノミネートして2位に選ばれ、世間でも注目されるようになってきました。芸能人が妊活を行うなど、マスコミでも取り上げられることも多いこの妊活、実は具体的に何をすればいいのかわからない方も多いと思います。
そこで今回は妊活とはそもそもどのようなことをするのか?いつどこでどのようなステップで進めればよいのか、解説します。
妊活とは妊娠に向けた知識習得や身体の状況把握をする活動
妊活とは、妊娠についての知識を身に付けたり、妊娠に向けて身体の現状を把握する活動で、もともとは製薬会社の啓発活動の一環として提唱された言葉です。妊娠を希望している女性だけでなく、今は妊娠を希望していないけれど将来的にしたい女性や、協力するパートナーの男性も対象に含まれます。
避妊の方法は多く出回っていても、妊娠をする方法はあまり出回っていないのが現状です。また、晩婚化が進み、高齢出産も多くなってきています。2014年のデータによると、日本で出産した女性の26%、3人に1人は35歳以上での出産だったようです。高齢出産には母子ともにリスクがあり、このリスクを避けるためにも、早くに妊活に取り組む必要があると考える女性が増えてきています。
妊活は具体的には4ステップに分かれる
では、具体的に妊活はどのように進めればよいのでしょうか?大きくは、4つのステップに分かれます。
1.身体の環境を整える
2.身体の様子を測定する
3.タイミングを図る
4.(1~3で上手くいかなかったら)不妊治療を受ける
1.身体の環境を整える
冷え性対策
冷え性と妊娠はあまり関係がないと思われるかもしれませんが、冷え性により子宮の機能が下がってしまうなど、妊娠しにくい体につながります。服装を工夫したり、冷えやすい食事を摂らない、クーラーを避けるなど体を冷やさないように気を付ける必要があります。
バランスの良く健康的な食生活
バランスの良い食事をとることで健康的な体がつくられ、それが妊娠しやすい体質につながります。間食をできるだけ避け、朝昼晩バランスの良い食事をとることを心がけましょう。
タンパク質、鉄分、亜鉛、ビタミンC、ビタミンDをしっかり摂りましょう。これらの栄養素の欠乏は月経周期の乱れ(排卵回数の減少)と早期流産リスクの増加と関連しています。
肉、魚、乳製品、卵、豆のようなタンパク質が豊富な食品をバランスよく取り込みましょう。
また、農薬や除草剤などの化学物質が付着している野菜などを摂ると、受精する力が低下し、卵巣の機能を阻害して月経周期が乱れることが分かっています。
この影響は、女性だけではなく男性も同様です。果物や野菜を農薬で摂取することが精子数にどのように影響するかを調査した最新の研究では、農薬が付着した野菜を継続的に摂取すると、精子数が低く、低品質の精子が多くなることが明らかになっています。
妊活の際には、有機野菜を積極的に取り込むことも検討してもよいでしょう。
飲酒やカフェイン摂取はほどほどに
アルコールは妊娠能力を低下させ、妊娠している場合はお腹の赤ちゃんにも害を与えることがあります。アルコールは女性ホルモンに影響を及ぼすことがわかっています。
また、妊活中はカフェインを減らすことも考えましょう。研究によると、カフェインが女性のホルモン濃度に影響を与え、妊娠するのにかかる時間に影響を与えることが報告されています。コーヒーであれば、1日1杯程度に抑えるとよいでしょう。
禁煙
たばこは、女性の卵子を傷つけるだけでなく、受精や着床を阻害したり、卵巣を老化させたりします。禁煙すると卵巣の機能が回復することも分かっているため、妊活を始めたら禁煙を検討するとよいでしょう。
また、ご自身がたばこを吸っていなくても受動喫煙による影響もあり、また女性だけでなく男性も喫煙による影響がありますので、二人で禁煙を頑張ってみることが大切です。
葉酸の摂取
葉酸は、赤ちゃんが器官形成をするために大変重要な役割を果たします。特に妊娠初期が最も重要な時期で葉酸摂取の必要性が高まるのですが、妊娠前も葉酸をとり始めることが理想的です。食品だけでは十分な摂取量を維持することが難しいため、サプリメントを有効に活用することが望まれます。
良質な睡眠
寝不足が続くと、健康状態も悪化し、妊娠しづらい環境になります。また、生理不順などの原因にもつながるため、良質な睡眠を確保することが望まれます。
ストレス発散
ストレスも生理不順などの原因につながります。また、不妊治療が上手くいかないとそれ自体がストレスになり気分も滅入ってしまうため、上手くストレス解消することが重要です。
適度な運動
適度に運動することにより肥満を解消、冷え性の改善、さらには睡眠の質も改善します。ストレス発散にもつながるため、妊娠するための身体づくりにはとても有効です。
特に余分な体脂肪は排卵を遮る特定のホルモンの過剰分泌につながる可能性があります。生理周期が不規則になり、排卵の確率が下がり、それが妊娠率の低下に繋がります。
ただし、体脂肪が少なすぎると、毎月排卵する女性ホルモンの分泌低下、または妊娠を維持するために十分な女性ホルモンを分泌できなくなる場合もあります。
運動は健康な体重を維持するために重要ですが、「適切」な運動量が大切です。
2.身体の様子を測定する(自分自身を知る)
基礎体温を測る
基礎体温をつけることにより排卵周期を知ることができます。その結果、妊娠しやすい時期がわかります。
正常な月経周期は約21〜35日と、人によって異なります。また、月経周期が顕著に長い場合は排卵頻度が低くなります。月経周期が乱れている場合も同様ですので、これらの場合は産婦人科に行くことをおすすめします。
正確に排卵周期を把握したい場合は、排卵検査キットでチェックするのも一つでしょう。唾液や尿を使って検査しますが、どちらのタイプもホルモンの状況から判断するものになっています。
定期的な健診
産婦人科で健診をすることで、不妊の原因にもなる子宮内膜症などの病気や症候群を早期発見することができます。これらは妊活のためだけでなく自分自身の健康維持にもつながりますので、定期的に健診しましょう。
3.タイミングを図る
実際に妊娠をするためには、妊娠しやすいタイミングで性交を行うことが大切です。妊娠しやすいタイミングは、基礎体温を測った上で見極めます。
4.(1~3で上手くいかなかったら)不妊治療を受ける
避妊をせずに性交をはじめて1年以上妊娠しないときには不妊症と診断されるため、1年を目安にクリニックを受診しましょう。
大切なのはパートナーとしっかり話し合うこと
特に実際に妊娠をするためにタイミングを図ったり不妊治療を受けるには、パートナーとのコミュニケーションが重要です。また、調べてみると実はパートナーの方に不妊の原因があることも多いため、早いうちに話し合いの場を持ちましょう。