産まれてくる赤ちゃんのために、妊娠中の食べ物を気をつけないといけないと考えている方は多いと思います。しかし、具体的に何を気をつけるべきなのでしょうか?
今回は、妊娠中に気をつけるべき食事について解説したいと思います。
以下の7つの項目に該当するものには気を付けよう
妊娠中に気を付けるべき食べ物・飲み物としては、以下の7つの項目に該当するものに気を付けなければなりません。
1.アルコール
2.カフェイン
3.水銀が含まれる食べ物
4.ヨウ素が含まれる食べ物
5.ヒ素が含まれる食べ物
6.ビタミンAが含まれる食べ物
7.食中毒を引き起こす恐れのある食べ物
水銀?ヒ素?と聞いてもピンとこないと思いますので、順番に解説します。
1.アルコール
胎盤を通して赤ちゃんに届き、胎児の成長や発達に影響を与える可能性があります。妊娠中に飲酒をすると、「胎児性アルコール症候群」というものを引き起こし、低体重や奇形などが発生する場合があります。
また、精神面の影響として、ADHD(注意欠陥性多動性障害)やうつ病などの中枢神経症になる可能性もあります。
妊娠超初期(妊娠0~4週)はまだ妊娠に気づいていない方も多く、うっかり飲んでしまったということもあると思いますが、この時期の飲酒は胎児への影響は小さいと言われています。
しかし、大量に飲酒をすると「胎児性アルコール症候群」を引き起こすともいわれていますので、妊娠の可能性のある方や妊活中の方は飲酒は控えた方が良いでしょう。
具体的な量で言うと、ビールなら大びん3本以上、日本酒なら3合以上、ワインはグラス3杯以上を毎日飲み続けた場合とされています。
気分転換にたまにビールを軽く飲む程度であれば良いか、と思うママもいると思いますが、ストレスから酒量が増えている可能性もあります。
ですので、お腹の赤ちゃんのためにも、妊娠中はアルコールは摂らないことが基本です。
2.カフェイン
胎児の発育が阻害される可能性があります。また、カフェインの大量摂取で、流産のリスクが高くなったという研究結果が報告されています。
お腹の赤ちゃんは、カフェインを分解するのに、大人より約20倍もの時間がかかると言われています。
コーヒーであれば1日に1杯程度にとどめましょう。また、緑茶などにもカフェインは含まれていますので気を付けましょう。
妊娠中は出来ればカフェインの含まれていない麦茶などの飲み物を選ぶとよいでしょう。
・緑茶
・エナジードリンク など
3.水銀の含まれている食べ物
自然界に存在するメチル水銀は普段摂取する分には栄養価のあるもので、体の中に取り込まれても徐々に体外に排出されます。
しかし、胎児には体外に水銀を排出する機能がなく、胎児の中枢神経に影響を及ぼし、神経障害や発達障害をもたらす危険があります。
魚には食物連鎖によって自然界に存在する水銀が取り込まれます。偏った食べ方をした場合、水銀が取り込まれ、胎児の発達に影響を与えることが明らかになっています。
ただし、これらの魚には良質なたんぱく質と、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が豊富に含まれ、週1~2回食べる程度は問題ありません。
以下のように厚生労働省が指針を出していますので、これを目安にしてください。
・キンメダイ、クロマグロ(本マグロ)、メカジキ、メバチ(メバチマグロ)など・・・1回80gを週1回まで※80gはおおよそ、切り身1切れ程度です
4.ヨウ素が含まれる食べ物
ヨウ素は摂りすぎると甲状腺機能が低下します。海藻類に多く含まれ、特に昆布に多く含まれています。日本人の食生活では出汁などで昆布は頻繁に使用するため、許容量を超えないように毎日摂ることは避けましょう。
ただし、逆に全く摂取しないとヨード欠乏症になってしまい、流産や胎児の脳機能障害を引き起こす危険があります。また、クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)を引き起こす可能性もあります。
クレチン症とは、甲状腺の機能が弱く、甲状腺ホルモンが不足する疾患で、赤ちゃんに哺乳力の低下、手足の冷えや便秘などを引き起こし、成長するにしたがって知能低下や発達障害が起こることもあります。
厚生労働省は妊娠中の1日当たりのヨードの推奨摂取量を2,200µg(2.2mg)と定めていますので、毎日の食事ではこれを目安に適切な量を摂るとよいでしょう。
・昆布だしや合わせ調味料
5.ヒ素が含まれる食べ物
ヒ素は健康被害を及ぼす成分ですが、ひじきに含まれており、妊娠中でなくても大量に食べ過ぎることは注意が必要とされています。妊娠中は乾燥ひじき5g(煮物小鉢1杯程度)を週2回までを目安にしましょう。
6.ビタミンAが含まれる食べ物
ビタミンAは普段も妊娠中も必要な栄養素ですが、妊娠初期のビタミンAの摂りすぎは、赤ちゃんの形態異常を引き起こす可能性があると言われているため、決められた推奨量を守るようにしましょう。日本人女性はビタミンAは毎日十分摂取していると言われており、過剰摂取にならないように気を付けましょう。1日の摂取量上限は2,700μgと言われています。
特に多く含まれている、レバーなら串焼きを週に1本、うなぎは蒲焼きを週に1回までが目安とされています。
・うなぎ
・あゆ
・ホタルイカ
・ヨーグルト
7.食中毒を引き起こす恐れのある食べ物
食中毒は妊娠中、特に気をつけなければなりません。特に、リステリア菌・サルモネラ菌・トキソプラズマは感染しやくすくなり、胎盤を通して赤ちゃんにも影響がでることがあり注意が必要です。
リステリア菌は塩分にも強く、冷蔵庫でも繁殖するため、妊娠中は動物性の食材(肉や魚介類)は火を通してから食べる、食肉加工品(生ハム等)、魚介類加工品(スモークサーモン等)ナチュラルチーズなどの加熱が不十分な食品は加熱をするのが鉄則です。もし妊娠中にリステリアに感染した場合は早期の段階で抗生物質を使用すれば、赤ちゃんへの感染を防ぐことができます。
生卵などによりサルモネラ菌の食中毒になる場合もありますが、古いものやひびの入っているものを気を付けてさえいれば日本の衛生環境ではまず問題ありません。
食中毒予防としての基本は、調理や食事の前によく手を洗い、生野菜や果物もよく洗ってから食べましょう。調理器具を衛生的に保つのも大切です。
・生ハムなどの食肉加工品
・スモークサーモンなどの魚介類加工品
・レアステーキや生ハム、ユッケ、レバ刺しなどの加熱不十分な肉
・生卵
注意しつつ、食事はしっかりとることが大切
ここまで紹介してきたように、いくつかの食品で注意すべきものはあります。しかし、神経質になりすぎるとそれがストレスとなり逆に赤ちゃんへ悪い影響を及ぼしますので、この記事に書いてある食材や栄養素に注意しながらも食事はしっかりとって、楽しい妊娠生活を送ってくださいね。