5歳は知識欲も高まり、想像力も付いてくる年齢です。
主人公の気持ちになって一緒にドキドキできるものや想像力が膨らむような絵本を読んであげるのがおすすめです。
今回は、そんな5歳の子におすすめの絵本を4冊、紹介します。
ともだちや
あらすじ
ともだちやさんをはじめることを思いついた寂しがりやのキツネ。1時間100円で友だちになってあげようというのだ。ちょうちんもって、のぼりをたてて「えー、ともだちやです」でも…ともだちってうれるのかな?かえるのかな。そんな時、「トランプの あいてを しろ」と声をかけてきたのはオオカミ。トランプの後にキツネがお代を請求すると、オオカミは目をとがらせた。
「お、おまえは、ともだちから かねを とるのか。それが ほんとうの ともだちか」
解説
オオカミが叫ぶ「ほんとうのともだち」の真の意味は、大人にとっても難しいものですが、とにかく、大切なミニカーをキツネに渡すときのオオカミの優しい表情が印象的。「ともだちや」ののぼりを道端に放り出してスキップをしながら帰っていくキツネの背中に、「よかったね」と声をかけたくなります。お友だちとの関係を自分なりに考え始める5歳前後の頃から、小学校高学年ぐらいまで、長く楽しめ、心に響いてくれる絵本です。
おしいれのぼうけん
あらすじ
さくら保育園では、何度注意されても言うことを聞かない子は真っ暗なおしいれに入れられて、あやまるまで出してはもらえない。お昼寝前に、ミニカーのとりっこでけんかをしたさとしとあきらは、先生に叱られておしいれに入れられてしまいます。そこで出会ったのは、 おしいれの奥に広がる夜の街に住む恐ろしいねずみばあさんでした。 ふたりをやっつけようと、追いかけてくるねずみばあさん。でも、さとしとあきらは決してあきらめません。「さとちゃん,てを つなごう」。お互いの手のぬくもりに勇気をもらって、ふたりの大冒険が始まった。
解説
子どもだけでなく、成長する大人の姿もきちんと描かれているのが本書の魅力のひとつ。さとしとあきらがおしいれのなかで戦っている間に、おしおきをしてしまった先生も心のなかで自分と戦い続け、最後にきちんと答えを見つけています。
すてきな三にんぐみ
あらすじ
黒いマントに黒いぼうしの、こわーい泥棒三人組のおはなし。三人組は次々と馬車を襲い、奪った財宝をかくれがにため込みます。ある夜、三人組が襲った馬車に乗っていたのは、みなしごのティファニーちゃんだけ。いじわるなおばさんに引き取られるならこの三人組の方がおもしろそう!とかくれがに行きます。宝の山を見てティファニーちゃんがいいます。「これ、どうするの?」
ここからおはなしは意外な方向へ。なんとも素敵なハッピーエンドが待っています。
解説
三にんぐみの泥棒がひとりの女の子と出会い変わっていく姿を描いた絵本です。宝集めに夢中だった三人組の大盗賊が、ひょんなことから全国の孤児を集め、お城をプレゼントする。世の中に対してものすごく強いメッセージをどの時代にも投げかけている絵本だと思います。「何のためにお金を稼ぐんだろう?」、「助け合うってどんなことだろう?」、「みんなで仲良く平和に暮らすってどんなことだろう?」、絵本を通して様々な問いかけを子どもたちにしています。とても風刺のきいていて、大人にとっても考えさせられる本かもしれません。
しょうぼうじどうしゃじぷた
あらすじ
高いビルにはしごをのばして火を消すことのできる、はしご車ののっぽくん。たくさんの水で激しい炎も消すことのできる高圧車のばんぷくん。けが人を運んで助ける救急車のいちもくさん。大きくて立派な働きをするみんなは、いつも小さな消防自動車じぷたを「ちびっこ」あつかいしていました。でも、道がせまい山の中で火事がおこりました。このままでは山火事になってしまいます。そんなとき、出動を命じられたのはなんとじぷたでした。
解説
だれにでも得手不得手はあるもの。普段は目立たなくとも、いざとなれば、せまく険しい山道を平気で登り、見事火事を消し止めるじぷたに、自分を重ねる子どもたちも多いのではないでしょうか?
乗り物絵本の製作に数多く携わった山本忠敬さんの絵が、自分にしかできない役割をきっちりこなす堅実なじぷたの姿を、生き生きと表します。半世紀にわたり子どもたちの人気を集めてきたロングセラー絵本です。