6歳という年齢は、大きな変化がある歳です。幼稚園や保育園から小学校に入学し、新しい環境にワクワクしながらも、新しい人間関係や生活の中で悩みを抱える時期でもあります。そんな6歳には、生きる上でのヒントになるような本や、不安であることも肯定してくれるような、そんな本を読むと良いでしょう。
今回は6歳におすすめの本を5冊、ご紹介します。
だいじょうぶだいじょうぶ
あらすじ
ぼくが今よりもずっと赤ちゃんに近く、おじいちゃんが今よりずっと元気だったころ、ぼくとおじいちゃんは毎日のように散歩を楽しんでいました。僕が少し大きくなって、困ったことや怖いことに出会うたび、おじいちゃんはぼくの手を握り、おまじないのようにつぶやくのでした。「だいじょうぶ だいじょうぶ。」
解説
どんどん広がっていく世界の中で戸惑いや不安を感じる子どもたちの心も、子どもたちの世界の広がりに不安を感じる親たちの心をも、包み込んでくれる絵本。
世の中心配なことばかりだけど、きっと大丈夫だよと励まされ続けてきた男の子は、自信を持って自分の世界を広げていくことができました。世の中は正しいことばかりではないし、信頼できる人ばかりではありません。
でも、信頼し合える関係を築くことの大切さ、自分が生きているこの世の中は悪いことばかりであるはずがない、いいものにしていかなければいけないと大人が示すことの大切さを、男の子に励まされる立場になった最後のページのおじいちゃんの寝顔が伝えてくれているようです。
手ぶくろを買いに
あらすじ
冷たい雪で牡丹色になった子狐の手を見て、母狐は毛糸の手袋を買ってやろうと思います。その夜、母狐は子狐の片手を人の手にかえ、銅貨をにぎらせ、かならず人間の手のほうをさしだすんだよと、よくよく言いふくめて町へ送り出しました。はたして子狐は、無事、手袋を買うことができるでしょうか。
解説
生まれてはじめての雪に子ぎつねが手袋を買いに行く、暖かな話です。絵も優しいタッチで描かれており、気持ちもほっこりしてきます。
また、作者の新美南吉さんは4才で母親を亡くしているのですが、その新美さんが幼い日の記憶を頼りに書いたものだと思われます。そのような背景を知っていると、読み聞かせるパパ・ママもまた違った視点で読むことができると思います。
100万回生きたねこ
あらすじ
100万回生まれ変わりを繰り返して生きたねこがいました。あるときは王様、あるときは船乗り、手品使い、どろぼう、おばあさん、女の子…。100万人の人がそのねこをかわいがり、100万人の人がそのねこが死んだときに泣きましたが、そのねこは一度も飼い主を好きになりませんでした。
あるときねこは誰のねこでもない、のらねこになりました。自分が大好きなねこは、めすねこたちにちやほやされて有頂天になりますが、一匹の白く美しいねこに魅せられます。
やがて子どもが生まれ、自分よりも大切な家族を持つことに。そして彼も…。
解説
さびしくも、なんとも言えない暖かな感動が押し寄せてくるような、そんな不思議な絵本です。大人向きでもあり、また子供向きでもあります。100万回生きたねこが、なぜ最後にこうなったのか。いろいろな解釈もでき、子供だけでなく親もともに成長できるような絵本です。
わすれられないおくりもの
あらすじ
賢くて、いつもみんなに頼りにされているアナグマだが、冬が来る前に「長いトンネルの むこうに行くよ さようなら アナグマより」という手紙を残して死んでしまった。悲しみにくれる森の動物たちは、それぞれがアナグマとの思い出を語り合ううちに、彼が宝物となるような知恵や工夫を残してくれたことに気付いていく。そして、春が来る頃には、アナグマのことは楽しい思い出へと変わっていった。
解説
水彩とペンで描かれるイラストが暖かい、スーザン・バーレイのデビュー作。イギリスでは最もなじみの深い動物のひとつであるアナグマを主人公にした本書は、「身近な人を失った悲しみを、どう乗り越えていくのか」ということをテーマにした絵本です。
子どもたちに「死」について考えるチャンスを与え、すでに「死」を理解する大人にも静かで深い感動をもたらす、そんな絵本です。
おこだでませんように
あらすじ
「ぼくは、いつでもおこられる。家でも学校でも…。休み時間に、友だちがなかまはずれにするからなぐったら、先生にしかられた」いつも誤解されて損ばかりしている少年が、七夕さまの短冊に書いた願いごとは…?
解説
子供のために買ったのに、パパ・ママの方が感動してしまった、と評価する方多数。もちろん子供にもとても良い本です。主人公である男の子にも、先生にも、そしてたった一人で懸命に二人の子育てをしているお母さんにも優しく、暖かい気持ちにさせてくれる絵本です。