皆さんは十三参り(十三詣り)という言葉をご存知でしょうか?七五三などと違って少し知名度の低いイベントではありますが、歴史のあるお祝いの日です。また、関西では七五三よりも重視されることもある行事であり、関東でも広まりをみせてきています。
そこで今回は、この十三参りについて解説したいと思います。
十三参りは、数え年の13歳に寺社でお祝いする
十三参りとは、旧暦の3月13日前後 (現在の3月13日から5月13日)に、数え年で13歳になった男女が虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)にお参りすることで、幸福と知恵を授かる行事です。この十三参りは、子供から大人への一歩を踏み出す儀式としての意味があります。
以前は4月13日に参拝するというのが一般的でしたが、期間が広くなり、3月13日から5月13日の間であればいつでも良いとされています。最近では、年中受け付けているお寺も多いようですね。
ちなみに、数え年とは生まれてからすぐを「1歳」とし、新年を迎えるごとに年齢を重ねていきます。例えば、2018年に生まれた子は、2030年に数え年で13歳になります。以下の早見表で十三参りを行う年の参考にしてください。
生まれ年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 |
十三参りを 行う年 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
ただし、元々は数え年で行っているこの行事ですが、満年齢(生まれた時点を0歳とし、1年経過するとともに年齢を重ねる一般的な年齢の数え方)で十三参りを行う家庭も増えているようです。十三参りの時期としては、ちょうど小学校を卒業し、中学校に入学する春になる方が多いようですね。
虚空蔵菩薩とは、無限の知恵と慈悲を持った菩薩とされています。
この虚空蔵菩薩は、記憶力増進のご利益があると言われています。そのため、この十三参りは「知恵参り」や「知恵もらい」とも呼ばれます。
特に京都嵯峨の虚空蔵法輪寺の十三参りが有名で、毎年多くのお子さんがここを訪れ賑わいをみせています。
昔は13歳が節目の歳だった
なぜ13歳にこのお祝い事があるのかというと、これには諸説があります。
1つは、「大人の仲間入り」をするのが13歳だったから、というものです。
13歳というのはちょうど干支が一回りする年です。今でいう成人は昔は男の子は15歳(元服)だったのですが、その前の儀式として半元服というものが行われ、これが13歳だったのです。
また、女の子も髪上げの儀式といって、それまで長く垂らしていた髪を結いあげ、大人の女性としての第一歩を踏み出す年齢だったのです。
つまり、心身ともに大人に向かって発達していく年齢といえます。
2つ目は、13歳は男女とも最初に迎える厄年であり、十三参りはその厄払いの意味を込めているのでは、という説です。
3つ目は、虚空蔵菩薩は菩薩の中でも13番目に生まれたとされており、これが由来となっているのでは、という説です。
いずれにせよ、昔は13歳が節目の年であったところから、この十三参りが脈々と続いてきたのです。
十三参りが行われる場所は虚空蔵菩薩が祭られている寺院
十三参りが行われている場所は、虚空蔵菩薩が祭られている寺院となります。
十三参りは関西地方で盛んにおこなわれており、特に京都では七五三よりも大切としている地域もあります。
ただし、関西以外ではまだ知名度も低いこともあるため、見つからないこともあります。もし近くに該当のお寺が見つからない場合は、普段お参りしているお寺や神社に行くとよいでしょう。
以下が十三参りで有名な寺院です。
近畿地方
虚空蔵法輪寺(京都)
十三参りでもっとも有名なお寺が法輪寺になります。境内への入場は無料ですが、祈祷は有料です。祈祷料は祈祷期間によって変わります。
現在のところ、1週間で5,000円、1ヶ月で7,000円、1年間で13,000円となっています。祈祷の受付は午前9時から午後4時までで、予約は不要です。
祈祷をするとお札とお守りとお供物と智恵の箸がもらえます。1年間を選んだ場合のみ、お数珠ももらえるようです。
祈祷後のはじめの食事で知恵の箸を使用すると知恵が身につくといわれていますので、忘れずに知恵の箸で食事を摂るようにしましょう。
法輪寺では、まず本人が授かりたい知恵やご利益を表す漢字を一文字書いて奉納します。
また、十三参りの帰路、本堂を出たあと、後ろを振り返るとせっかく授かった智恵を返さなければならないという伝承があり、鳥居を潜り渡月橋を渡るまでは周囲の誘いにも動じず後ろを振り向かない必要があります。お参りの前に子に教えておくとよいでしょう。
ちなみに、法輪寺以外はは鳥居をくぐって境内から出るまでとなります。
4月13日や土日祝日は混む傾向がありますが、それ以外の平日であれば人も比較的分散しているため、混雑を避けたければこの日を除いていくとよいでしょう。
電話:075-862-0013
太平寺(大阪)
太平寺は「大阪の虚空蔵さん」「なにわの十三まいり」と言われ、親しまれてきました。年中受け付けはしていますが、祈祷に際しては予約が必要ですので、事前に問い合わせておくとよいでしょう。
電話:06-6779-9133
弘仁寺(奈良)
奈良県の十三参りで有名なお寺は弘仁寺です。祈祷に際しては事前に予約が必要で、祈祷料は一人あたり1万円です。本堂内部の写真撮影は禁止されていますので気を付けましょう。
電話:0742-62-9303
関東地方
浅草寺(東京)
東京の十三参りで最も有名なのは浅草寺でしょう。
お参りの際に子供たちに虚空蔵菩薩のご真言をいただき、観音様のご宝印を額に押して成長の無事とご加護をお祈りします。
ここでは、お札・お守り・お供物を授与しています。
祈祷料によってもらえるお札は変わり、3千円以上で紙札、5千円以上で小木札、1万円以上で大木(赤水引)、2万円以上で大木札(金水引)となっています。
電話:03-3842-0181
法禅寺(東京)
電話:03-3471-4041
虚空蔵堂(茨城)
電話:029-282-2022
正覚寺(神奈川)
電話:045-942-3059
北海道
浦幌神社
電話:015-576-2448
東北地方
奥州柳津虚空蔵尊
中部地方
興正寺(愛知)
電話:052-832-2801
中国地方
住吉神社
電話:082-241-0104
九州地方
太宰府天満宮
電話:092-922-8225
十三参りでは、漢字を一字奉納するしきたりがある
十三参りでは、授かりたい知恵やご利益を、漢字一字に表して奉納するというしきたりがあります。
もし思いつかなければ自分の好きな漢字で構いません。その場だとなかなか思いつかないことも多いので、事前に考えておきましょう。
十三参りでは正式には着物を着るが、制服などでも構わない
十三参りは、女の子は着物を着て参拝するのが正式です。女の子は初めて大人の寸法(本断ち)の晴れ着を肩上げして着ます。
肩上げとは、肩山のところで縫い上げて裄丈を調整することです。お参りから帰宅したら、肩上げしている糸をすぐに解くことによって、大人の仲間入りをすると言われています。
男の子は羽織袴が、正式な儀礼となります。
ただし、男の子は学生服や洋服で参拝する方も多くいます。女の子も、着物の準備が難しければ学生服やワンピースなど、少しフォーマルな服装であれば問題ないでしょう。
また、ご両親は洋服でも着物でも構いませんが、洋服が一般的です。子供が主役ですので、子供より格式が高い服にならないように気を付けましょう。
もし着物を持っていない方は、レンタルというのも選択肢の一つです。
関東地方でも徐々に広まりつつある
元々は関西地方を中心に受け継がれてきた十三参りの文化ですが、徐々に関東地方でもお祝いすることが広まってきました。
ちょうど中学に入学する時期でもありますので、お子さんの成長を祝って十三参りをしてみるのはいかがでしょうか?
お子さんだけでなくご家族にとってもいい記念になりますよ。