世の中の禁煙の流れにより喫煙者は減少の動きを見せていますが、2016年のJTの男性喫煙者率は約30%いると言われています。
そんな喫煙者の男性や、パートナーの女性も喫煙が妊活に影響があるかどうか、気になるところではないでしょうか?
そこで今回は、男性の喫煙が及ぼす妊活への影響を解説します。
※女性の喫煙については以下の記事をご覧ください
喫煙が血流の悪化と体の酸化に結びつき、精子損傷やEDの原因に
たばこの煙には活性酸素が含まれています。この活性酸素が体内で作られ過ぎてしまうと、体内の必要な細胞まで攻撃してしまいます。活性酸素はこれが体の酸化につながり、体内各器官の老化につながります(酸化ストレス)。この酸化ストレスは精巣へも影響してしまうため、精子のDNAが損傷してしまうリスクがあります。
また、たばこにはニコチンが含まれています。そして、ニコチンには血管を収縮させる動きがあり、血流を悪くする結果となります。
ペニスの勃起は、海綿体に血液が流れ込むことで起こるものです。そうなると、勃起時のペニスへの血液の流れが阻害され、勃起障害(ED)に繋がる可能性があるのです。
女性も受動喫煙により影響があり、卵子や子宮機能の低下に繋がる
たばこというのは、ご存知の通り吸っている本人だけでなく、その煙を吸うだけで影響があります(受動喫煙)。
そして、先ほどたばこの煙には活性酸素が含まれていると書きましたが、受動喫煙した方にも活性酸素が増えます。
この活性酸素は、男性の場合は精子に影響を及ぼしますが、女性の場合には卵巣や子宮の機能の低下につながるのです。
厚生労働省によりますと、妊婦の喫煙により、自然流産の発生率は約 2 倍、早産率は約 1.5 倍、周産期死亡率は約 1.4 倍高くなるといわれています。
受動喫煙により、女性に対しても悪い影響を及ぼすことは間違いありません。
お腹の赤ちゃんへの影響もある
さらに、喫煙は妊娠率の低下だけでなく、お腹の赤ちゃんにも影響があります。
喫煙している両親の新生児の体重は、そうでない両親の新生児に比べて、低体重での出生リスクが高いということが研究で明らかになっています。
厚生労働省によりますと、喫煙者の子どもの出生体重は平均 200g 少なく、低出生体重児が産まれる頻度は約2倍高いと報告されています。
そのため、子供が妊娠していることを知らずに受動喫煙していた場合、お腹の赤ちゃんに対して悪影響を及ぼす可能性があるのです。
過度に気にする必要はないが、喫煙場所に注意することが重要
男性の喫煙が妊活に及ぼす影響をご理解いただけたでしょうか?
当然のことながら男性側が喫煙者でも妊娠することは可能です。冒頭でご紹介した通り、約30%は喫煙者であり、それ以前はさらに喫煙率も高かったにもかかわらず、何の問題もなく妊娠し、出産に繋がっているカップルが圧倒的に多いのです。
また、あまり喫煙に対して過度に気をつけすぎると、それがストレスになります。ストレスは、体の機能を低下させますし、精子への影響もあります。さらには、勃起不全(ED)につながることもあります。そのため、これまで喫煙していた方が過度に喫煙を制限する必要はありません。
しかし、妊娠率を高めたい、産まれてくる子供も健康でいてほしい、と思うならば、喫煙を控えることがベストです。もし禁煙することが難しいようであれば、女性のパートナーの近くではたばこは吸わないなどの配慮はした方が良いでしょう。
iQOS(アイコス)など加熱式タバコも影響があるため控えるべき
近年人気となっている加熱式タバコ(iQOS:アイコス)は、ニコチンなどの有害物質の量が低減されていると言われています。報告によると、ニコチンは通常のタバコと比較すると9割減とされているようです。
しかしながら、完全にニコチンがカットされているわけではなく、副流煙の中にはニコチンが含まれています。また、ニコチン以外の有害物質も多く含まれているとの報告もあります。
そのため、アイコスをはじめとした加熱式タバコは控えるべきでしょう。
ヘビースモーカーの方は禁煙治療を行おう
以上のようにタバコは妊活をするにあたって有害なのですが、わかっていてもなかなか禁煙を行える人は少ないでしょう。そのため、禁煙治療を行うことをおすすめします。
禁煙治療では、ニコチンパットやニコチンガム、ニコチン代替薬などの薬剤を用います。また、カウンセリングを併用することもあります。
禁煙治療は病院によって保険が適用できます。禁煙学会のホームページに保険が適用できる禁煙外来一覧がありますので、そちらを参照するとよいでしょう。